GHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出を含む気候変動の適応に関する方針
近年、人間の経済活動によって排出された温室効果ガスが地球温暖化を引き起こし、干ばつ、洪水、高温などの異常気象や気候変動、海面上昇、生態系の変化など、自然や人間の住環境に大きな変化を及ぼしています。私たちオリオングループにおいても、こうした世界共通の課題についてこれまで以上に意識を高め、2050年までにGHG排出量を実質ゼロにするための取り組みを行っていきます。
オリオングループは、「沖縄の自然との共生」を最も重要なマテリアリティテーマの一つとして捉え、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく取組を実施しています。
2023年には、当グループの中でも最もインパクトのある酒類清涼飲料事業を有するオリオンビール株式会社を中心に、ガバナンス体制やリスク管理体制の整備、気象変動リスク・機会における事業インパクトのシナリオ分析や各指標・目標の設定を実施いたしました。
1. ガバナンス
オリオンビール株式会社(以下、「当社」)を中核とするオリオングループ(以下、「当グループ」)は、「沖縄」という多様な歴史文化と自然環境を有する亜熱帯地域の島国で生まれ、その沖縄の魅力を企業理念や、重要な要素として掲げ、成長してきた企業群です。
そのような当グループにとって、世界で深刻化している社会・環境課題、特に沖縄の魅力を損ねかねない気候変動は、事業の存続に直結する、経営の最重要課題として捉えています。
この最重要課題の解決に向けたサステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、2023年9月、当グループは「オリオン・サステナビリティ委員会(以下、「委員会」)を設置いたしました。
委員会は、当社CEO を委員長とし、また、当社の全執行役員と当グループ3社の代表取締役で構成されており、当社の意思決定機関である「経営会議」の監督のもと、当グループと沖縄をはじめとするあらゆる地域社会の持続性強化に資する施策の企画立案・推進を担い、サステナビリティ経営を推進しています。
また、委員会のこれらの取組については、当社取締役会が、経営会議および委員会にて協議・決裁された内容の報告を通じて管理・監督(案件によっては決裁)を行っています。
本委員会は、経営会議に対して四半期に一度、また、委員会事務局は、取締役会に対して半期に一度、方針等および各施策に関する課題や進捗、結果等を定期的に報告いたします(但し、案件によっては随時)。また、必要に応じて各ステークホルダーの皆さまへの情報発信等の対応も行っています。
本委員会は、主にサステナビリティ基本方針やマテリアリティ(以下、「方針等」)」など、サステナビリティ経営に係る重要方針・指針等の企画立案や各種施策の企画立案(KPI策定含む)、その企画案の各事業戦略等への落とし込み、進捗総括、評価、情報公開およびそれらに係る全ての予算計画の立案を担います。
また、世界の潮流に沿ったサステナビリティ経営とすべく、国際的イニシアティブ等への参画や外部評価機関等への対応に加え、当グループのバリューチェーンでつながる様々なステークホルダーの皆さまに準拠いただきたい指針・規範等の策定も担います。
2. 戦略
2023年、オリオングループは、世界規模かつ変化の著しい気候変動関連に伴うリスク及び機会が当グループの事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、シナリオ分析に取組み、また、気候変動が事業に与えるリスクや機会の把握を行いました。今後、各リスク等への対応策の立案・検討を財務計画と並行して行います。
オリオングループの主要事業である「酒類清涼飲料事業」及び「観光・ホテル事業」に対して重要な影響を与え得るリスクおよび機会を特定するため、短期(0~2年)・中期(3~10年)・⾧期(10~30年)という時間軸において、各項目の事業インパクトや発生頻度を踏まえ、下記の表の通り評価しました。
3. リスク管理
沖縄という日本でも特有の気候条件を有する地域に拠点を置くオリオングループにおいて、気候変動の影響については「オリオン・サステナビリティ委員会(以下、「委員会」という。)」および気候変動に関する事業等の企画立案・推進等について委員会から付託を受けた委員会事務局が中心となって、グループ各社および関係部署と連携しながら、リスクと機会の特定および状況の把握を行い、原則、四半期ごとに開催される委員会にて報告・提言します。
委員会は、報告・提言された気候変動の影響と対応について審議を行い、評価します。リスクの評価については、その他の関連事項とともに少なくとも年1回以上、また必要に応じて取締役会に報告されます。
取締役会は、リスク管理の状況と対応を含めた気候変動に関する事項について委員会より報告を受け、課題解決に向けた取組や設定した目標を監督します。
気候変動のリスクを管理する仕組み
委員会から付託を受けた委員会事務局は、気候変動の影響を特定・評価するプロセス、特定した影響を管理する仕組み、組織全体のリスク管理の中に統合する仕組みを含め、気候変動に関する事業等の企画・立案、管理を行い、随時、委員会に報告・提言を行い、委員会の監督のもと、全社的な気候変動への対応を推進します。
また、特定した気候変動の影響について、必要に応じてリスク管理・コンプライアンス委員会へ情報共有・提言を行うことで、気候変動の影響を全社リスクに統合する役割を担っています。
さらに、特定したリスクの最小化に向けた方針・戦略の策定、計画・予算・目標等への反映など、適応していくための審議・調整を行います。委員会で審議・調整したリスク管理の状況と対応については、その他の審議事項とともに少なくとも年1回以上、また必要に応じて取締役会に報告されます。
随時開催されるリスク管理・コンプライアンス委員会において、グループ各社・当該リスク管理を担う所管部署からの報告・提言を評価して、全社リスクの把握と適切な対応を審議します。各審議の内容・結果については、随時、経営会議や取締役会に報告していますが、気候変動の影響についての報告・提言があった場合も同様に、全社的なリスク管理の観点から適切な対応を決定します。
取締役会は、サステナビリティ委員会とリスク管理・コンプライアンス委員会から気候変動に関するリスク管理の状況と対応について報告を受け、監督を行います。
4. 指標と目標
オリオングループは、特に地球温暖化に影響を与えると考えられているGHG排出量に関し、グループ全体でScope 1、2について、2030年までに「50%減(対2019年比)」を、また、2050年までに「ネットゼロ」を目指します。
オリオングループGHG排出量一覧 (単位=t)
2022年度 | 2023年度 | |
Scope1(連結) | 5,367 | |
排出量全体に占めるScope1(連結)の割合 | 7.7% | |
Scope1:オリオンビール株式会社 | 4,592 | |
Scope1:連結子会社(※) | 775 | |
Scope2(連結) | 10,932 | |
排出量全体に占めるScope2(連結)の割合 | 15.8% | |
Scope2:オリオンビール株式会社 | 8,658 | |
Scope2:連結子会社(※) | 2,274 | |
Scope3(連結) | 53,040 | |
排出量全体に占めるScope3(連結)の割合 | 76.5% | |
Scope3:オリオンビール株式会社 | 45,394 | |
Scope3:連結子会社(※) | 7,646 |